TITLE:【Others】読売新聞 夕刊 「たしなみ」挿画
2012年4月から読売新聞夕刊の隔週火曜日に、現代の人間関係のありようや世相を考えるエッセーを集めた「たしなみ」のコーナーの挿画を制作しています。
2021年4月からの作者は星野博美さん(作家・写真家)、小川糸さん(小説家)のお二人です。9年目に入った連載を引き続きお楽しみください。
©Yoko Yamamoto
読売新聞夕刊「たしなみ」挿画、2021年11月10日のテーマは「弁当箱のマナー」小川糸さんです。
2012年4月から読売新聞夕刊の隔週火曜日に、現代の人間関係のありようや世相を考えるエッセーを集めた「たしなみ」のコーナーの挿画を制作しています。
2021年4月からの作者は星野博美さん(作家・写真家)、小川糸さん(小説家)のお二人です。9年目に入った連載を引き続きお楽しみください。
©Yoko Yamamoto
読売新聞夕刊「たしなみ」挿画、2021年11月10日のテーマは「弁当箱のマナー」小川糸さんです。
「ハムレット!ハムレット‼」(小学館)
新刊本が本日11月9日付で発売されました。シェイクスピアの戯曲「ハムレット」は時代を超えて読み続けられ、演じられてきました。そして読者は、ハムレットやオフィーリアをイメージし、小説やエッセイ、また絵画・彫刻などのメディアを使って、想像をふくらませてきたのです。もちろん世界中で。
この「ハムレット!ハムレット‼」には、もくじ通りに並べると、太宰治、芥川比呂志、志賀直哉、小林秀雄、ランボオ(小林秀雄訳)(中原中也訳)、大岡昇平、ラフォルグ(吉田健一訳)、福田恆存、小栗虫太郎、久生十蘭のパスティーシュ(作品の特徴を強調して、新たな創作性を示すことを意図した表現)がズラリと並んでいます。大正時代からの素晴らしい読書体験のオンパレード!この本の興味深くておもしろい点は、読み比べができること。様々な作者の時代を超えての文章が響き合い、また不協和音に笑えること。ハムレットを読みながら笑顔になれる本は珍しいと思う。
この本は、刈谷政則さんという編集者の40年間のコレクション。今なら指先ひとつで調べられるだろうけれど、彼の夢の実現がなければ読むことの出来ない空間が出現します。編集者の言葉も楽しんで下さい。
新作として、谷川俊太郎さんの詩、そして光栄なことに「私のハムレット」の版画も収録されました。
山本容子
「ハムレット!ハムレット!!」
小学館(定価:2,800円+税) 2021.11.9
昨日、2021年10月24日の午後1時から午後4時半。この3時間半の間に、奇跡のような素晴らしい夢が実現した。
秋晴れの美しい山口県秋吉台国際芸術村のコンサートホールは満席。
スペインの詩人ヒメネスの「プラテーロとわたし」28編の散文詩には、テデスコの28曲のギター曲が作曲されている。そして私は28点の銅版画を制作した。その詩をギター演奏にのせて朗読する波多野睦美さんは、ギターを奏でる大萩康司さんの繊細な指先に応えることが出来るように詩の翻訳をした。言葉が弦に乗った。私の絵は、演奏するふたりの頭上に投影されて輝いた。曲に合わせて静かに動く映像はつつましく、曲にとけこんだように思えた。中川健一君の丁寧な指使いは、PCの上で画像を遊ぶ。
東京から来てくれた編集者の榊原宏通君は、この三つの要素がコンサートホールの空気を「詩」の「ことば」で埋めつくされる時間を体験してくれた。
音も映像も消えてしまうから、と。心して聴きましたとのことだった。改めて観客の皆様への感謝で一杯になった。
コンサートホールは、演奏が終了すると私の展覧会場になるので、展示は、まるでオーケストラピットのように譜面台に絵を置いて配置した。コンサートがはじまる前、私のプレトーク *「4 poems and Me」を銅版画の制作プロセスと共に話した。コンサートホールで展覧会がしたいという願いが叶ったのだった。
※「4 poems and Me」についてはまた発表したいと思います。
アンコールの「十一月の田園詩」の演奏の様子と、曲にのせて静かに変化する画像を見て下さい。
そうしてもし「プラテーロとわたし」の本を持っているなら、88pをひらいて「暖炉にくべる松の枝を運ぶ 規則正しく繊細で軽やかな」足どりのプラテーロをイメージして下さい。
そして「十二月を待っている野原に、謙虚で穏やかなロバの姿が、過ぎた一年の歳月にも似て神聖に見え始める」というヒメネスの声を聞き、CDをお持ちなら、ギター曲をかけながらの朗読をどうぞはじめて下さい。
夢は見なければ実現しない「ひとつのオブジェ」です。
最後にふたりが、振り向いています。プラテーロと見つめ会いました。
山本容子
詩画集とCDになった「プラテーロとわたし」がいよいよリアルに大萩康司さんのギターで全曲演奏。詩人ヒメネスの翻訳をされた、波多野睦美さんの朗読と歌。そして私の作品の伴走投影というコンサートが10月24日(日)午後2時からはじまります。場所は秋吉台国際芸術村コンサートホールです。午後5時終了予定ですが、多分。休憩をはさんで、約4時間の大作の開演です。
私の28点の作品は、大萩さんと波多野さんの背景に投影されますが、アナログ風に少ーし動きます!制作は中川健一君。
この素晴らしい企画のはじまりは、大萩さんからの依頼でしたが、これが私の夢だったことにすぐに気がつきました。夢はひとつの実ですが、中にはそのうちに咲くであろう花の実なのです。そのリアルを実感しました。リハーサル風景をいち早くお届けします。
大萩さんは、詩人のヒメネスに似てきたと思いました。
コンサート「プラテーロとわたし」(秋吉台国際芸術村)
■日時 2021年10月24日(日) 開場12:30 開演14:00
*13:00より銅版画作家 山本容子によるプレトークあり。プレヴェール、シェイクスピア、谷川俊太郎、そしてヒメネスに至る、四人の詩人について語ります。
■会場 秋吉台国際芸術村コンサートホール
■料金 一般3,000円 ユース(25歳以下)1,000円(秋吉台フレンズネット会員は2割引)
■出演 大萩 康司(ギター)、波多野 睦美(メゾソプラノ、朗読)、山本容子(銅版画、トーク)
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山本容子 銅版画原画展「プラテーロとわたし」(秋吉台国際芸術村)
■会期 10月25日(月)~31日(日)9:00~17:00
■会場 秋吉台国際芸術村 コンサートホール
※入場無料、申込不要。「プラテーロとわたし」の原画が展示されます!
「山本容子展」(ギャラリーたむら)
■会期 10月30日(土)〜11月14日(日)
■会場 ギャラリーたむら
※こちらでは、「プラテーロとわたし」の版画が展示されます。
新刊書籍
『プラテーロとわたし』
J. R. ヒメネス=作 波多野睦美=訳
山本容子の新作銅版画28点を収録
A5変型版上製120ページ
本体価格1,700円(税別)
理論社
詳細はこちらより
CD
『プラテーロとわたし』
マリオ・カステルヌオーヴォ=テデスコ
大萩康司(ギター)
波多野睦美(メゾソプラノ、朗読)
定価4,545円(税別)MARCO 001/2
MARCO CREATORS/キングインターナショナル
詳細はこちらより
2012年4月から読売新聞夕刊の隔週火曜日に、現代の人間関係のありようや世相を考えるエッセーを集めた「たしなみ」のコーナーの挿画を制作しています。
2021年4月からの作者は星野博美さん(作家・写真家)、小川糸さん(小説家)のお二人です。9年目に入った連載を引き続きお楽しみください。
©Yoko Yamamoto
読売新聞夕刊「たしなみ」挿画、2021年10月20日のテーマは「万祝のマナー」星野博美さんです。
2012年4月から読売新聞夕刊の隔週火曜日に、現代の人間関係のありようや世相を考えるエッセーを集めた「たしなみ」のコーナーの挿画を制作しています。
2021年4月からの作者は星野博美さん(作家・写真家)、小川糸さん(小説家)のお二人です。9年目に入った連載を引き続きお楽しみください。
©Yoko Yamamoto
読売新聞夕刊「たしなみ」挿画、2021年10月6日のテーマは「電話のマナー」小川糸さんです。
2012年4月から読売新聞夕刊の隔週火曜日に、現代の人間関係のありようや世相を考えるエッセーを集めた「たしなみ」のコーナーの挿画を制作しています。
2021年4月からの作者は星野博美さん(作家・写真家)、小川糸さん(小説家)のお二人です。9年目に入った連載を引き続きお楽しみください。
©Yoko Yamamoto
読売新聞夕刊「たしなみ」挿画、2021年9月22日のテーマは「老いた兄妹が会う時のマナー」星野博美さんです。
『映画 勝手にしやがれ 口絵』1988年 ソフトグランド・エッチング、手彩色 16×12cm ©Yoko Yamamoto
2021年9月6日。
フランスの俳優ジャンポール・ベルモンドが亡くなった。88歳だったというが、私のイメージは映画「勝手にしやがれ」の主人公ミシェル・ポワカールのままだ。ソフト帽をかぶり、煙火を指にはさんだまま、親指を唇にあててグルリと回す。そのしぐさを版画にしたくなった。消えてしまわないように、いつでも見ることが出来るようにと。
テレビにVHSのカセットを入れて映画を見ながら直接、銅板に描いていった。テレビの前に卓袱台を用意して、彼の唇シーンが出るとリモコンを一時停止させる。ところが描いているうちに一時停止は震えだして映画がはじまってしまう。すると巻き戻しをして、また彼と対面。こんな動作を繰り返して、ショートヘアの愛らしい新聞の売り子、ジーン・セバーグも描いた。もちろん自分の姿を重ねて。二人のフランス語を聴きながら、とても自然で自由な気分になったことを覚えている。
1988年、私は36歳だった。
山本容子
『映画 勝手にしやがれ1』1988年 ソフトグランド・エッチング、手彩色 22×36.5cm ©Yoko Yamamoto
『映画 勝手にしやがれ2』1988年 ソフトグランド・エッチング、手彩色 22×36.5cm ©Yoko Yamamoto
『映画 勝手にしやがれ3』1988年 ソフトグランド・エッチング、手彩色 22×36.5cm ©Yoko Yamamoto
『レストラン「ル ゴロワ」のレシピから 季節のごはんと暮らし方』という待望の本が誕生しました。
1997年、「ル ゴロワ」というフレンチレストランが、表参道の裏通りに開店した時からお世話になっていました。徒歩百歩くらいの場所にアトリエを借りている時期で、私の犬のルーカスが、散歩の時マダムに水をもらったり、夕食時にはスープをとった後の牛の骨をシェフからいただいたり、もちろん私の胃袋のお世話もしてもらっていました。ご近所つきあいがはじまったのです。
13坪の小さなレストランには、カウンター12席、窓側にテーブル一卓がありました。いつも満席の「パリのごはん屋さん」のように、常連で大賑わいの旨い店。店に入るとマダムの敬子さんの笑顔で出迎えをうけ、カウンターの中からは忙しいシェフが鍋をいくつも動かしながらペコンとおじぎをしてくれました。はじめてカウンターの隅に座った時、右横の壁にペンのキズを見つけた私は、そのペンの続きが描きたくなって犬のルーカスの落書きをしたのが、お二人と親しくなるきっかけでした。
犬のルーカスを連れてシェフの「特製ル ゴロワ風サラダ」をワインと共に注文し、パティシエでもあるマダムの「グレープフルーツプリン」で締める日常飯の、胃袋も心もあたたまる夕食は疲れをふきとばしてくれたのでした。
思い出がありすぎるので、続きはまた書かせて下さい。
山本容子
『レストラン「ル ゴロワ」のレシピから 季節のごはんと暮らし方』
朝日新聞出版 1,500円(税別)
コンサートのお知らせです。
「プラテーロとわたし」全曲、大萩康司さんギター演奏と波多野睦美さんの朗読と歌。
そして山本容子の原画全点がコンサートホールの壁面に投影されます。
チケットも販売されました。
ご予約はこちらから!
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■日時
2021年10月24日(日) 開場12:30 開演14:00
*13:00より銅版画作家 山本容子によるプレトークあり
■会場
秋吉台国際芸術村コンサートホール
■料金
一般3,000円 ユース(25歳以下)1,000円(秋吉台フレンズネット会員は2割引)
■出演
大萩 康司(ギター)、波多野 睦美(メゾソプラノ、朗読)、山本容子(銅版画、トーク)